082 ツとッは同じ書き方で 投稿者:たかひろ  投稿日: 6月 3日(木)18時47分28秒

タッチさんのホームページ「StenoWorld」に、タッチさんの速記歴が書いてあり、興味深く拝見しました。
佐竹先生も登場され、なつかしい思いです。
そして、そのHPにV式の基礎の説明がありました。タッチさんがV式に惚れ込んでおられるようすが察せられます。
それで、V式創案者の緑さんにおたずねしたいのですが、それによるとインツクキの「ツ」は尾部楕円で「ク」は尾部大円、「ン」は尾部小円となっています。
ところが実際には、そのあとにストロークが続く場合には、尾部の楕円と大円、楕円と小円は区別しにくいことがあるものです。サツイとサクイ、サンイとサツイ、コクバンとコツバン、カツドウとカンドウなどがその例です。(もちろん、サインの前後のストロークの組合わせによっては、区別しやすいことも多々ありますが)、
それで、日本語においては「ツ」は「ッ」で代用可能なわけで、単画の符号ではその方が書きやすいことも多いわけですから、インツクキにおいてはあっさりと「ツ」は尾部小交差の「ッ」で代用、としてしまえば、簡単でよいと思うのです。
その代用のことは、初期の学習者には教えないのでしょうか。
そして、代用というよりも、私としてはむしろ、インツクキに限らず、語頭以外の「ツ」は基本的には「ッ」と同じとしたらよいと思うのです。
これはV式に限らずインツクキを順記で書く方式ならどれでも言えることで、V式では、末尾の楕円で「ツ」というのはやめて、「ツ」が語尾に来てそこで終わる場合には、末尾交差のかわりに末尾を短い線で切ることとし、末尾の楕円は別の省略に使った方が有効ではないか、ストロークの末尾楕円を語尾の「ツ」とするのは尾部楕円がもったいないような気がするのです。これはインツクキの「ツ」に限らず、動詞語尾の「ツ」でも同様です。
要するに、字音の場合でも、和語の場合でも「ツ(語頭以外)」と「ッ」は同一の書き方で何らさしつかえないのではないか、というのが、私の考え方です。
そして、イタリア語などの外来音などで、まれにその二つを同じ書き方をすると誤読をしかねないものがありますが、その場合には何かの印を入れることにします。

以上、V式を練習したこともない私が横からクチバシを入れて申し訳ないのですが、感じたままを書いてみました。なお、この件に関して、おやじさんのご意見も歓迎します。


083 速記士とは 投稿者:たかひろ  投稿日: 6月 2日(水)14時34分50秒

おやじさん、速記者と速記士の違いは?という私の問いかけに詳しく調べて回答をいただき、ありがとうございました。それで、おやじさんご自身の結論としては、
 《速記士の方は「士」ですが、その技術の専門家だけではないようですね。単なる「一定の資格・職業」のようです。「速記士」は検定試験の1級及び2級に合格していることが条件だと思います。「速記者」は実務速記者、速記教育者、速記研究者も含めた、広義における速記関係者の「総称」ではないでしょうか。》
となりそうですが、私の考えを書いてみます。
 私はメガネ屋ですが、「眼鏡技術者」という呼び名もあり、そのほかに民間資格で「眼鏡士」「眼鏡調製士」などというのもあるのですが、「○○者」よりも「○○士」の方がなんとなくカッコイイので、自称の「眼鏡士」もいます。
 「眼鏡士」の名称は法律に基づいた公的資格として名称独占がうたわれているわけではないので、誰でも「私は眼鏡士です」と言ってもよいのです。
 それは「速記士」でも同様で、検定なんか受けたことがない人でも、「私は速記士です」と言っても、少なくとも法的にはまったく問題はないわけです。
 では、「○○者」と「○○士」とはどうちがうのかということになってきますが、私の答えを言いますと、「○○士」は、元来、武士の精神を持つべき存在である、ということです。
 すなわち、それは江戸期の武士のあるべき精神性と似ており、「自己の専門的能力でもって、私利私欲を離れて社会のために尽くす」ということです。
 速記をする人はすべて「速記者」と言えるでしょうが、本当に「速記士」だと言えるのは、そういう気持ちで
誇りと責任感を持って速記業務(もちろん反訳も含む)をする人のことを言うのだと私は解釈しています。
 (なお、この場合の「業務」とは「職業」よりも範囲が広く「反復継続の意思を持って行なう」ことです。)
 たとえば、議会の速記者が、誰かから買収されて議事録を改竄したとします。そうしたらその人は「速記者」ではあっても「速記士」ではないことになります。
 消防士が、火事の現場で「家の中に私の子供がいます!」と叫ぶ母親にもしも「あんたの子供を助けに中に入るには相当の危険がある。いくらくれるんだ?」なんて言ったら、その瞬間から彼は消防「士」ではなくなり、消防屋としか呼べなくなります。
 なお、いわゆる公的資格にかかわる専門職の人たちにおいては、すべてその職務の公的重要性からして、「弁護士」「公認会計士」などのように、本来は「○○士」とすべきなのですが、「医師」「薬剤師」などは歴史的な経緯から「師」が使われているのです。
 また、「師」には「詐欺師」「ペテン師」などのように、悪いヤツもいますので、その意味でも、公的資格の名称は「○○士」の方が適切です。
 ただ、どこの世界(業界)にも「○○士」と名乗りながら、実体は「○○屋」だという人は大勢います、というか、ほとんどがその手合いで、本当の「○○士」はごくわずかです。人間、カスミを食って生きてはいけないので、それもしかたがないことなのかもしれませんが。


085 速記者/速記士 投稿者:北の道楽おやじ  投稿日: 6月 1日(火)22時36分4秒

 「速記士」という名称は大正8年6月17日まで遡ります。

 「日本速記五十年史」に「速記士の設置」
 由来、貴族院速記課としては定員の増加、速記技手休職の廃止、奏任速記者の設置を希望せしも、予算その他の関係でこの目的を果たすことを得ず、常に隠忍自重し来りたるが、漸くにして大正7年奏任官として速記士を置くことになり、大正8年6月17日伊藤新太郎が速記士に任官した。しかしながら伊藤は既に長老として速記課内に重きをなしたる人にて、貴族院の事務局官制第4条の2に
「速記士ハ奏任トス上官ノ指揮ヲ承ケ速記ニ関スル事務ヲ掌ル」
とあるも、既に速記技手時代にありてしかり、ただ官等の違いにして、仕事に多大の変化なく、古参速記者優遇の一方法として与えられし椅子にほかならない、現在に至る速記士もこれに近い。云々
※昭和9年の話です。

「日本速記年表」
 昭和26年12月1日 日本速記協会で、速記記録の質的向上に寄与するため、広く社会に優良な速記者を推薦するむ目的をもって、適格と認めた者に日本速記協会速記士証を交付する制度が実施された。

 また「特例」もあったそうです。
 「そのころ日本速記協会は、速記士証書交付規定を改正することになり、これまでに相当の実務経験を有しながら、まだ速記士証を持ち合わせていない者には、過渡的な措置として検定試験を受けなくても、それ相応の先輩速記士の技術証明があれば、速記士証を交付しようという、極めてありがたいお達しがあった」
とも伝え聞いております。昭和28年ごろの話です。昔は日本速記協会主催B級(分速290字×10分)の検定試験に合格をしていたら「速記士証」を申請できたと聞いております。

 社団法人日本速記協会 定款施行細則(平成5年10月28日一部変更)
(資格認定及び速記士証交付)
第16条 この法人は、速記技術者の格づけに資するため、検定1級合格者を1級速記士、検定2級合格者を2級速記士と認定し、本人の申請により、1級速記士証、2級速記士証をそれぞれ交付する。
 2 旧日本速記協会の実資した速記技術検定試験2級以上の合格者には速記士に認定されたものとみなし、本人の申請により速記士証を交付する。
 3 永年速記実務に携わった者より申請があった場合、理事会が承認したものは特にこれを速記士とみなし、本人の申請により速記士証を交付する。
第17条 1級速記士証、2級速記士証の交付を受けようとする者は、所定の交付申請書に履歴書1通。戸籍抄本1通、写真(縦40ミリ×横30ミリ)2葉及び発行手数料10,000円並びに登録料10,000円を添えて理事長に申請しなければならない。ただし、既に会員である者は登録を要しない。
 2 再交付を申請するときは、写真及び手数料3,000円を添えて理事長に申請しなければならない。
 3定款施行細則第16条第2項及び第3項の規定により、1級速記士証の交付を受けようとする者は特例認定料30,000円を、2級速記士証の交付を受けようとする者は特例認定料20,000円を添えて理事長に申請しなければならない。
 4 前項の証を受けた者の氏名は速記士名簿に登録する。

と書かれております。

 「大辞泉」によると
「士」……一定の資格・職業の人。
「師」……その技術の専門家であることをあらわす。
とのことです。
 速記士の方は「士」ですが、その技術の専門家だけではないようですね。単なる「一定の資格・職業」のようです。
 「速記士」は検定試験の1級及び2級に合格していることが条件だと思います。
 「速記者」は実務速記者、速記教育者、速記研究者も含めた、広義における速記関係者の「総称」ではないでしょうか。

 昭和57年の「日本速記者名鑑」に、私の名前が掲載されているところを見ると一応は「速記者」の部類に入っているようです。 


086 速記者か速記士か 投稿者:たかひろ  投稿日: 6月 1日(火)10時52分54秒

緑さん、小谷式の「設計」なんて言わずに「創案」でよいと思います。
SVSDの考え方は、結果としては「創」ではなかったかもしれませんが、
小谷式の方式全体は立派な「創案」です。
もし小谷式が「創案ではない」とすれば、他にどの方式が
「創案された」ものだと言えるのでしょうか。

それからおやじさん、中根正親先生の言葉を正確にご紹介いただいて、どうもありがとうございました。
また、MYAMOさんは、中根式を高校でやりながら、石村式に移られたのですか……。
インツクキだけでなく普通の単音にも位置を利用するというのは
たしかにユニークな発想ですが、また、それを堂々と発表してしまわれるところもすごいと思います。若さの特権、でしょうか。

ところで、みなさんのご意見をお聞きしてみたいのですが、「速記者」と「速記士」
はどうちがうのでしょうか。
もちろん、検定に合格したら、○級速記士、となるのですが、それは
○○士としたほうが資格の名前らしいからそうしたのだと思います。
ではなぜ資格の名前には○○士や○○師が多いのでしょうか。
そして、検定など受けていない速記者が「速記士」と自称してもかまわないのですが、
その場合「速記者」との違いは何なんでしょうか。
おやじさんや緑さんは、自分はどちらだと言いたいですか?


088 点空式の発明者について 投稿者:北の道楽おやじ  投稿日: 5月31日(月)22時06分34秒

 Myamoさんのプロフィールですか。
 私もまだお会いしておりませんので、詳しいことを申し上げられませんが、石村式を独習された方です。高校時代に速記部で中根式を学習されております。
 ユニークな発想の持ち主だと思います。

 林 甕臣式のことについては、武部良明著「日本速記方式発達史」の29ページに説明と速記文字が掲載されております。
 伝え聞くところによりますと、田鎖式との対立があったようです。
 林甕臣(弘化2年2月3日〜大正11年1月8日)国語学者
 洋画家の林 武(本名:武臣)は林甕臣の五男です。

 中根正親先生が言われたのは、下記のことではないでしょうか。
 「法則をつくることは甚だ簡単であるかもしれないが、法則のうち最も価値ある法則を少なくつくることは比較的困難である。速記法則としての価値は、法則の数が少なくして、その結果が偉大であるという点に存していると思う」
(中根式創案当時の思い出:中根速記協会機関誌「中根式速記」昭和4年3月・4月号/京都速記士会編「速記 研究と回顧」昭和27年9月20日発行)
 また、中根正親著「中根式日本語速記法(中根式速記法講解)」大正5年2月発行の6ページ「速記学とはいかなるものか」において
 「拙式をして一層完全なものに改良していただきたい」

 さらに同著の14ページ「研究者への注意」において
 「拙式はその立案そのものを中根式と称したいと思う。今後の研究者は第一立案、第二何派をとるべきか、ということを先に研究決定しなくてはならぬ」
と書かれております。後世の中根式関係者はよい意味で解釈をしたいと思います。


089 小谷式とは 投稿者:緑匣山人  投稿日: 5月31日(月)22時00分56秒

 速記道を楽しむおやじさま、おひさしぶりです。ますますご発展の段お喜び申し上げます。

「小谷式」という名前が出たので、設計にかかわった者から少し説明を……。
 現在「SVSD小谷方式」を略して「V式」と称しています。この「SVSD」とは、same vowel(同母音) same direction (同方向)の頭文字をとったものです。

 発表したときは他に類似の方式がなく、確かに独創的と言えたんですが、その後、戦前に「飛行ガナ」という名前で「桜井ふさ」さんの創案された折衷方式(「ア列→右向」「イ列→下向」「ウ列→左下向」「エ列→右上向」「オ列→右下向」)が発見され、結果的には独自の発想とは言えなくなりました。また、同じ膠着語の朝鮮語方式にも同様のものがありました。(以上、荒木章氏のご指摘による)

 ただ、このV式は、速記符号として使える「点と線」等を一たんばらして、その素材を日本語の音韻や頻度に合わせて再構成したものです。その過程で、日本語を構成する5母音を5方向に、主な行の9子音を9形に当てはめるのが一番自然でした。そこで、V式では「創案」と言わずに「設計」と言っております。

 また現在、濁音は濃線ではなく切り線を使っています。
 さらに、「流し」線については、長音は、最終的には短音と同様になっても多くの場合は読み分けができることから、採用しました。

 林式は、母音の基本となる形がたまたま3方向になったもので、それに子音をあらわすサインをつけており、少し趣きが違うかと思っております。

 「たかひろ」さんには、いろいろな要素を計算して設計された方式であることを評価していただき、大いに励みになりました。改めて厚く御礼申し上げます。

 本日はこれにて……。


090 点空式の発明者って? 投稿者:たかひろ  投稿日: 5月31日(月)18時27分52秒

ユニークすぎてこわい、点空式、線空式の発明者って、どんなかたなのでしょう?
おやじさん、MYAMOさんのプロフィールなど、ご存じでしたら、ちょいと
教えていただけませんでしょうか。


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