6時の線に関する魔術師さんのご説明、ありがとうございました。日本の速記方式では、
スタイル云々を方式の組立の当初から言うのはあまりなくて、それは結果としての話であって、スタイルを念頭に置いて、90度線をやめたとか、少なくしたとかいう方式は少ないでしょうね。(毛利式宅間式の系統は別として)
特に国会系の人だとかで高速を旨とする人は「スタイル?ま、気にしたい人はすればいいんだろうけど、
要するに、発言をなるべく少ない量の線で書き留めるのは、いろんな方向の線を使う方が
有利なんだから、スタイルなんて贅沢なことは関係ないですわ」という
ところでしょう。
それで、運筆という点においては90度線は、魔術師さんのお考えではトメなら1cm、流しなら3cmくらいまでがいいところだと……。
まあ、妥当なところでしょう。ただ、私としては3cmもの垂直線というのは、あまり書きたくない感じですが。
W式でも、8mmの縦線を頻出する「こと」にあてていますから、
元々6時の線は、長いものでなければ嫌うという発想はないわけでしょう。
で、スタイルのことは主観も入るのでここではひとまず置くとして、
ここからが大事なところです。
「運筆の点で」、たとえば15mm程度の単純な線で、
4時方向と6時方向を比べるとします。
私は4時方向の方が書きにくいです。(6月30日にも述べました)
魔術師さん、緑さん、道楽親父さん、みなさんは、どちらが
書きにくいでしょうか。
ご自身の手指感覚でのご意見をお待ちしています。
「標準速記法原理」西来路秀男著の「方角」の中で、270゜線について、
「270゜(上から下へ行く垂直線)運筆上からはあまり書きよい線ではないが、目立つので差別要素としては重要な線である」と書かれております。
いみじくも「差別要素」といっておりますが、私が前回の発言で書いた「優位」とは、このことであります。
> たとえば、「アリマス」を無制限といってよいほどの横長の線で表す方式が
> あります。しかし、6時の線で、長〜い線を使う方式はないでしょう。
衆議院式の「タリ・タル・タレ」、参議院式の「思います」「存じます」等、中根式九段派の特大線(極大線)における「できない」などは、6時方向のかなり長い線を使用しているようです。(このへんの解説は、おやじさんにお願いしたいと思います)
いずれも字尾を流して、次への弾みをつけるような運筆です。総じて国会式の一行が右下り傾向にあるのも、縦線の頻度が高いことが起因していると思います。
6時線の長さに関しては、「止め」では1センチまで、「流し」では3センチ程度、といったところが運筆上の標準値と思いますがいかがでしょうか。
魔術師さん、4時から6時の線の方向の是非や長短を論じる場合には、
須らく(すべて、という意味ではなく、必ず、という意味です)
その長さと一緒に論じないといけないと思います。
たとえば、4〜5ミリ程度の線であれば、6時方向の線は、日本語の高速度の速記には
不可欠で非常に有用であることは論を待たないと思いますから。
たとえば、「アリマス」を無制限といってよいほどの横長の線で表す方式が
あります。しかし、6時の線で、長〜い線を使う方式はないでしょう。
で、どのくらいの長さまでなら、魔術師さんは「必要悪」ではなく、有利に使えると
思われますでしょうか。
> 「手書き速記」以外の内容は、即刻削除させていただきますのであしからず。
管理人さん、道楽にも厳しさが大切といったところでしょうか。
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漢字圏の国民は日頃の書字に縦の線を使っておりますので、英語圏の人たちほど垂直方向の線に対する抵抗感は少ないと思います。それとは逆に、「永字八法」以外の運筆方向(例えば4時の方向)の線は普段書かない線なので書きづらさを感じるように思います。
また、線に対する感覚の個人差(書き癖)もあります。水平線を右下さがりに書く癖のある人は下30度の線はあまり苦にならないようです。
「電気の缶詰」の「一行速記」の中の「3.(1)加点省略」に"an"や"ai"といった手書き文字がありますが、前述のこういった傾向がその文字に現れておりますね。
もしも、あれを書かれたのが、たかひろさんご自身であれば、きっとたかひろさんは4時方向の線をあまり苦にされないタイプなんだと思います。
> ただ、スタイルの美しさと言う点と、同じ方向の線が続いた場合のスペース的な
> 問題ということでいえば、下30度(4時)の方がましだと、わたしは思うのです
見た目のよさについては同感です。
ただ、分かりやすさや安全性の点からすると90度下向き線の方が優位にありますので、同じ範疇での是非は論じられないと思います。
私も縦の線は好きではありませんが、日本で派生した幾多の速記方式を支えてきた線でもあります。「必要悪」というような言葉で片付けてしまうと、縦線がかわいそうですね。"^_^"
SVSDの基本文字における3種の長さの線のうち、長線においては
4時方向の線よりも6時方向の線を嫌うというのは、わたしも緑さんも
同じだと思います。(だから緑さんは、ヘとメを特別な形にされたわけでしょう)
では中線においては、4時と6時のどちらを嫌うか、ということになりますと、
緑さんは4時の方をより嫌われるようですが、わたしは6時の方が
嫌いなのです。
書きやすさはおそらく6時の中線の方がましだと思います。
W式のハなんかは、90度下向き、に近いですが、別に書きにくい感じはしません。
ただ、スタイルの美しさと言う点と、同じ方向の線が続いた場合のスペース的な
問題ということでいえば、下30度(4時)の方がましだと、わたしは思うのです。
緑さん、くわしいご説明をありがとうございました。統計や理論を元に組み立てて、そこにさらに実際の使用の上での感覚をいかして現在のV式に到達されたご努力は、たいへんなものだと思います。
KさんがW式からV式に転身されたのは、もう彼が速記の実務を始めていたときだったでしょうか。(彼の学生時代のことではないですよね)
それで、V式に変えてから1級を通るまでの期間の短かったこと!
あれ、1年もかかっていなかったのではないですか。
おそらく最短記録ではないかと思うのですが、
なぜあんなに速く1級合格がなったかといいますと、
・V式の優秀性(覚えやすく書きやすく読みやすい)
・Kさんの能力
・KさんもW式で育った人なので、V式になじみやすかった。
などが挙げられると思います。
KさんがV式にかわってから1級合格までどれくらいの期間だったか、
緑さんは覚えておられますか?
(Kさんの1級合格は高野山での研究会の少し前だったと思います)
それから、KさんはV式で高速度協議会でも優勝されました。
それをW式の機関紙に「当式の通信講座の修了生のKさんは、高速度協議会で
優勝、うんぬん」と書いてあり、それには緑さんも苦笑されていましたね。
ま、ウソを書いてあるわけではないのですが、
ああいう書き方だと誰でもKさんがW式で書いて優勝したとおもいますよね。(^_^)
そういうのに対して抗議もせずに笑ってすまされた緑さんは度量の広いかただなと
思いました。
わたしなら、おそらく抗議したでしょう。
白熱する符号談義につい誘われて……。
百人一首ならぬ百人一式で、それぞれの思いがそれぞれの方式として表現されるということでしょうかね。
管理人さん、この掲示板を独占し過ぎて差し支えるようでしたら、「余り細かいところは手紙でやりとりされたし」とかなんとか、各自あてにメールででもご指示ください。
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> V式で、もしスルが加点であれば、接する、の場合だと、セッを長楕円で
> 書いた方が書きやすいと思います。
そうでしょうね。使っている人もいるはずです。
>
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> 2.基本的に助辞は、ストローク(最短線もストロークとみなす)を使う
> あるいは、サインだけの助辞や両方の形を持つ助辞もあるが、主体はストローク
> 私の見方では、V式は2であると思いますが。
「は・も」がサイン(「が」に独立楕円を使う人もいます。)、「の」がサインとストローク(基本文字)の併用、あとは「て・で・と・た・だ・し」等は短線ですし、基本文字ストロークをそのまま使っています。「ので・から」等は位置のある点です。V式は基礎から最上級まで長さを短・中・長の3種類に限定しているので、短線はサイン的に使えることも多い最短線と同様に扱え、結構融通がききます。
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> 緑さん、V式で「頻出助詞にはサインも設けておいたら便利かも」、と思われた> ことはないでしょうか。
そう思いますが、漢音縮記を順記にしたので、それと抵触しない符号は少なく、頻出助詞(の・は)及び基本文字ストロークが長い線(も)の場合だけ採用しました。
また、「て・た」等は、ストロークとストロークを組み合わせることにより省く書き方もあります。(「ッ」と同じ書き方など)
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> 夕立の中で二人でがっかりして慰め合いましたよね。
多くの犠牲者のうちの2人でしたね。
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> そして、そういう意味で、V式は日本のグレッグ式である、とも言えると
> ただ、「流し」を多用する点がグレッグとV式の相違点ではあるのですが。
ありがとうございます。最終的にグレッグ式に似るように、時計の針の「2時(30度) ・3時(0度) ・7時(− 120度) 」の方向が多くなるように構成したつもりです。
「流し」については、線をぶち切るものでなく、滑走してつないでいく感じで、熟練すればするほど負担が少なくなるような書き方ができるのではないかと思います。
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> それから「ストローク派」と「サイン派」ですか、おもしろい分類ですね。
> V 式も、どちらかと言えば、前者でしょう。V式創案者の出自が関係していそう
W式で育ったけれども、隣のN式をよだれを垂らしながら見ていたんです。
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> わたしはSVSD方式の基本文字を作ったことがあります。
> 一番イヤなのは下へ90度の線ですが、ウ列の音は省略で消えることが多いが、> そして、濁音を持つ行には曲線を配置して、山根の基本文字のような大カギで濁
V式では、一番いやなのは「4時(−30度) 」という考え方でした。そこで、比較的低頻度の「う列・え列」に「4時(−30度) ・6時(−90度) 」を、各個別音の頻度で縦長線が余り出てこないように配分しました。
また、「あ列・お列・い列」が多いので、それに各行の頻度等を考慮し、その他の方向をはめていくと現在の姿になりました。
結果的に、日本語は活用語尾を含め「あ列・お列」に「い列・え列」が交互に続くことが多く、二線一筆化できる符号がたくさんできました。 (なり・なれ・なに・のり・まり・まれ・もり・もれ・られ・しか・せか・きか・きこ……
漢字音では、機械・企画・期間・司会・時間・資格・死活等々…)
多曲線・大カギ線を使うと、この一筆化した2〜3音価値の符号と類似してくるものが多くなるので、ほとんど使用していません。
以上、40年近く前のことを思い出すまま書いてみました。当時の「中速度速記法について」という、ガリ版刷りのプリントに大体の考え方が書いてあったかと思います。
日本語における母音の多さの順は、アオイウエ、であり、
葵の上とおぼえておくとよいと思います。
エ列の音よりもウ列の音の方が多いのですが、ウは動詞語尾などで、中速度以上では消せる場合が多いのに、エ列音は字音にけっこう多くて消しにくい、ということで
わたしはエ列よりもウ列にイヤな方向の線をあてたわけです。
税制面での是正、なんてエ列音が6つも出てきます。
これを高速度で書く場合、特定の略号を使わない限り、5つのエ列音を書かないと
いけないでしょう。
一方、美しく作る、は、6つのウ列音が出てきますが、
クやツ、ルの省記や略記を利用して、ストロークを書くのはかなりさぼれそうです。