>「変化が少ない」とは、「単画線」を総じて表現した言葉です。
ううん……。基本的にはそうですが、連綴となると、ある線とある線を書く場合に、初めの線の末尾に円があったほうが書きやすいこともあります。ですから単画の利点は基本文字の線量の問題ではなく線の末尾がみな平等なので、インツクキなどの省略法が一貫して施せるという点にあると思います。
同様にア行の基本文字も複画である「純複画」のタイメイスも、その手の省略法が一貫して作りやすいわけです。
> 難しいのは「割り当て方」で、V式を倣って「列別に同じ方向の50音表を作
>ってみろ」と言われても私には全く自信がありません。思い付きでやってみても
>破綻をきたすのは目に見えていますから。"^_^"
わたしはSVSD方式の基本文字を作ったことがあります。
それにおいては、V式とは違って上へ30度方向の線から順に、オ・ア・エ・ウ・イとしました。
一番イヤなのは下へ90度の線ですが、ウ列の音は省略で消えることが多いが、エ列の音はそうでもないので、下90度方向にウを置いたわけです。あとは類字音類似線の考え方です。
そして、濁音を持つ行には曲線を配置して、山根の基本文字のような大カギで濁音を示すことにしました。
線の長さはV式と同様に3種です。これでもって純単画で濁音完全表記が可能となりました。
拗音は頭部小丸カギか、中央部切線です。(特定の略語は別)
ただ、これは試案にとどまり、高度な省略までは作っていません。
>「類似音類似線」「頻出音良線」といった考え方はどんな速記方式にも当てはま
>る共通の理だと思います。
そうなのですが、まったく違う音が類似線となっている(異語同記というものではなく)方式がときどきありますね。
なお、タイメイスは、昨日MyamoさんのHPに掲載されましたので、お暇なおりにでもご笑覧くださり、
ご感想などあればお聞かせいただければ幸いです。
> 「変化が少ない方が書きやすい」とおっしゃることの意味が、いまひとつわか
> りにくいのですが、もう少しくだいた説明をお願いできませんでしょうか。
すみません、舌足らずで。(^^ゞ
「変化が少ない」とは、「単画線」を総じて表現した言葉です。
> たとえば、V式のように線の方向が5つあっても、真下や右下に向かう線が少
> な目であれば書きやすいでしょうし、長さが3種類あっても、最大の線が少な
> 目であればやはり書きやすいと思います。
同感です。
難しいのは「割り当て方」で、V式を倣って「列別に同じ方向の50音表を作
ってみろ」と言われても私には全く自信がありません。思い付きでやってみても
破綻をきたすのは目に見えていますから。"^_^"
「書きやすさ」「読みやすさ」「覚えやすさ」という3要素は、現存する速記方
式すべてが均等に持っているものではなく、ある方式は、
「書きやすさ20」「読みやすさ40」「覚えやすさ40」といったようなもの
もありましょうし、50−30−20の方式があるかもしれません。もっと極端
な配分の方式もあると思います。
この数値のバランスを保つ難しさを「ジレンマ」という言葉で表現させていた
だいた次第です。
「類似音類似線」「頻出音良線」といった考え方はどんな速記方式にも当てはま
る共通の理だと思います。
> W式やその系統は前者、N式やその系統は後者というわけですな。
私が言いたかったことをすべて代弁していただきました。
> V式も、どちらかと言えば、前者でしょう。
V式はストローク派の最右翼だと思います。
> なお、タイメイスについては、近日中にMyamoさんが、ご自分のHPの
> タイメイスの解説を掲載していただくことになっています。
楽しみに待ってます。
「変化が少ない方が書きやすい」とおっしゃることの意味が、いまひとつわかりにくいのですが、もう少しくだいた説明をお願いできませんでしょうか。
たとえば、V式のように線の方向が5つあっても、真下や右下に向かう線が少な目であれば書きやすいでしょうし、長さが3種類あっても、最大の線が少な目であればやはり
書きやすいと思います。
また、少々乱れても読みやすい速記、というのは基本的に、音節数に対する書記線の量が多いものだと思いますが、そうなると書くのに時間がかかります。
そのジレンマを幾分でも和らげるのが、「類字音類似線」の原理だと
わたしは思います。
魔術師さんは、それはジレンマ解消には関係がないと思われますか?
それから「ストローク派」と「サイン派」ですか、おもしろい分類ですね。
W式やその系統は前者、N式やその系統は後者というわけですな。(中には例外もあるかもしれませんが)
V式も、どちらかと言えば、前者でしょう。V式創案者の出自が関係していそうです。
わたしは生まれも育ちも石村ですから、やはりサイン派でしょうな。
もっとも、1級を取ってからは自分の家に引っ越しましたが。
なお、タイメイスについては、近日中にMyamoさんが、ご自分のHPの
タイメイスの解説を掲載していただくことになっています。
掲載された時点で、この掲示板でご案内をいたしましょう。
線の形状は変化が少ないほうが「書きやすい」のは明らかでしょうが、それに重点を置き過ぎて「読みやすさ」を犠牲にしていないか、ということが一番の課題点になってくると思います。また、「長さ」や「角度」に頼りすぎるのも、この「犠牲」を大きくしてしまうというジレンマが待っています。
理想だけを言うと、「書きなぐってもたやすく読める」ということになりますが、そういった点では日本のひらがなは、非常に優れていると思います。ただ、ひらがなの場合は、文字の乱れを字形が吸収してくれますが、速記の線はそういうわけにはいきませんので、ここに難しさが存在しています。
さて、速記線の好みの話に戻りたいと思います。
従来、速記方式そのものを分類する際に「複画」とか「単画」といった言葉が使われてきました。創案者は方式を組み立てる際に、構成上の重点の置き方が個性となって現れる点は非常に面白く、この点から大雑把に二分すると、「ストローク派」と「サイン派」ということになるかと思います。
ここで「○○式」は「ストローク派」で、「××式」は「サイン派」などと、言ってしまうと「それはお前の独断に過ぎない」とのお叱りを受けますので控えますが、設計思想からの分類ではこういったことも言えると思います。
我々は、このような軸足の置き方を「好み」という言葉で表しているように思います。
ストロークの理想は水平線でしょうが、これだけでは言葉は書けませんから、角度を付けることになります。この「角度」というのは非常に曲者で、理想の角度に深入りすることの陥穽は道楽おやじさんが速記雑感の中で述べております。
ストロークの理想的な姿の一例としては、「速記和歌山−−速記発表100年記念特別号−−」の表紙でY先生が見せてくれたように思います。創案時の資料は処分されたとのことで、誠に残念です。
タイメイスはグレッグ式のサインを使われているそうですね。
たかひろさんの速記をWeb上で公開されたらいかがでしょうか。(^J^)
魔術師さん、詳しいお返事をありがとうございました。
魔術師さんがお好きな形がわかりました。
それなら森先生の中根式表象法もお好きなのではないですか。
それと、まっすぐ下へ行く線や、右下に行く線がなくてすいすい横に伸びる
という点では、楕円派と呼ばれるグレッグ式も、それに該当するのではないかと
思います。(私のタイメイスも、そういう感じです。手前ミソですみません)
私は外国の速記方式の符号のスタイルでは、グレッグ゙式が一番好きです。
そして融合による一線化が成立しやすいように巧みな子音の設定をなしたという
点や、類似音類似線、頻出音良線という原則にもかなっているという点で
グレッグには感心しますね。
そして、そういう意味で、V式は日本のグレッグ式である、とも
言えると思っています。
ただ、「流し」を多用する点がグレッグとV式の相違点ではあるのですが。
たかひろさん、初めまして。ご返事が遅くなってごめんなさい。
「毛利式速記の歴史と昭和近代史の証言…学習院大学 北川暉基」の中には、若林玵蔵が書いた記事を引用した後で、
「玵蔵がピットマン系(英国系)よりドイツ系にあこがれていたことが察せられる」と述べております。
また、
「つまりいままでのピットマン系の速記文字の間にドイツ系の文字をそのまま借用して略字にあてたわけで、カナ文字の間にローマ字を交えたように、その体系が全く異なるところから決して混同を来たさなかった。そしてこの初期の形はすでに玵蔵の明治19年版『速記要訣』にも載せられている」と紹介しております。
これを読んだときは、田鎖式とドイツ系との意外な関わりに、思わず「へぇ〜」の声が出てしまいました。
> それから、魔術師さんご自身の斜線派での方式案はあるのでしょうか。
ドイツ斜線派の祖ガベルスベルガー式については、「速記の歴史…向井征二著」の中で、
「しかしこの方式の欠点は、幾何派のそれのごとき速記文法を確定することが不可能なため、学ぶに非常に苦労させられることである。(中略)したがって、この方式を外国人が理解することは至難のわざであるが、……」と述べております。
以前、道楽おやじさんにお尋ねしたところ、日本人でこのガベルスベルガー式を研究した人というのは報告されていないとのこと。
方法論からすると、斜線派を学ぶには、まずドイツ語の習得から入らなければなりません。(;´Д`)
その弟子K・ファウルマンの速記法を翻案利用したという毛利式の設計コンセプトを学ぶには、「毛利式 日本速記法 毛利高範著」を読むより先に「ドイツ語入門」が必要であると考えられます。このことは、毛利式の「発声字」などを読むと痛感いたします。
さて、
中心からの高低差が少なく、濃線を用いずに、離筆の少ないものはないのか。縦線は言うに及ばず、点もできれば使いたくない。
要するに英文の筆記体のような様相を呈した速記符号。速度は必要としないから、線量は多少多くてもかまわない。
日本の速記方式では毛利式が斜線派の代表選手のように言われているが、前述のような要求は、残念ながら100%満たしてくれるものではありませんでした。ポロポロとちょん切れる、豆まきしたような符号文例も気になるところでした。
道楽おやじさんにお願いして毛利式の資料のコピーをいただき、基礎符号から倣ってみました。
正円派とは全く異質な怪しげなムードで、
「その昔、こんなので書いてた人たちがいたんだ」と嘆息しましたが、このまま学び続けて「毛利式で書ける人」を目指すなんていう野望は持てませんでした。
「純斜線派」<^!^>なんていってしまうと、「使える線」が非常に限定されますが、こういうストイックなものもカッコいいとは思います。ただ、私案を作る上でのモデルを「毛利式」に置くのはちょっと無理があるのではないかと考えます。
線の様相としては、「速記道楽」のトップページに掲げられている道楽おやじさんの速記文字や、中根式の植田裕先生が書かれた速記文字のような、水平線上にスイスイと伸びるような形状に憧れますね。
といったわけで、私の場合は「憧れ」だけで、残念ながら「私案」は持ち合わせておりません。
魔術師さん、速記に関連する映画のご紹介をどうもありがとうございました。
ところで、魔術師さんは、別のBBSで「自分の理想は斜線派だ」とおっしゃって
いましたが、それは、下記のどれをモデル的に想定しておっしゃっているのでしょうか。
・ドイツの斜線派諸式 ・毛利式 ・グレッグ式 ・タクマ式 ・その他
それから、魔術師さんご自身の斜線派での方式案はあるのでしょうか。
我々がタイ語の文字とビルマ語の文字の見分けができないのと同様に
一般に人には、速記文字は、どの方式のものでも変わりがないように見えるようです。
また、どの程度の省略を使ってあるかということ、すなわち、高速度の書き方になっているかどうかということも見分けられないようです。(当たり前かも)
また、速記符号を知る前に私自身が抱いていたイメージと、知ってからの感想の違いと言うと、そうですね、高速度になっても、基本文字がけっこう生きている単語が多い
ということが意外と言えば意外です。
私は、高速度になるとほとんどの単語に特別な形があるのだろうと思っていました。
でも、それじゃあティロの速記になってしまいますよね。(^_^)
それと検定試験で、あんなにどきどきするとは思いもしませんでした。
(自分が読み上げをやったときも、それ以上に緊張しましたが。(^o^))
でも、試験で朗読が終わった直後に「書けた!やった!」と思ったときの
うれしさは格別ですね。
抜けさえ無ければ、まずは不合格にはなりませんから。
固有名詞や外来語などで、読みにくくて文脈から判断できないような単語があっても
字数にするとたいしたことがないから、まず、大丈夫、というわけです。
逆にごそっと抜けをやってしまったときのくやしさは、何ともいやなものです。
亡くなられたHさんが1級の検定の朗読をなさったときに、一部を猛烈なスピードで
読まれたので「なんでこんなに速いの?!むちゃやで!」と怒りを覚えたことがありましたが、あれもいまとなっては楽しい思い出です。
あの夏の日、緑さんも私と一緒に1級を受けられたのですが(たしか、関大だったと
思います)、覚えておられますか?
夕立の中で二人でがっかりして慰め合いましたよね。
失恋魔術師さん、「速記が登場する映画」をご紹介していただきありがとうございました。
私が知らない映画などが随分ありました。速記関係者は参考になると思います。
映画以外で、小説などで速記を取り上げたものがありましたら、ご紹介をお願いいたします。
松本清張の「迷走地図」を何回か読み返しましたが、中根式、熊崎式が出てくるところは非常におもしろいと思います。
テレビで放映されたビデオも何回も見ましたが、最後の場面で有森也実が交差点のところで口紅を使用して書いた速記文字は、少し違うように思いますが……。
素人には速記文字がわからないので、私は深く追求をしませんけど……。(^^;)
おやじさん、解説をありがとうございました。
そう言えば、早稲田式でも、助詞ハの書き方は、ワを使う場合と、ハを使う場合と
二通りありましたですね。
ただ、助詞に2通りの書き方を一番多く認めているのは石村式ではないかと
思います。
緑さん、V式で「頻出助詞にはサインも設けておいたら便利かも」、と思われた
ことはないでしょうか。
たとえば名詞の語尾が長音などの流しで終わる場合は、サインの助詞は使いにくいでしょうが、普通のストロークで終わる場合には、助詞はサインの方が楽かもしれませんが。
ただ、いますでに組立が終わっているところへ、新たにそういう追加はしにくいかも
わかりませんけれど。