「曲線文字の書き方」に対するご質問をいただきありがとうございました。
中根式は「正円幾何派」に属しておりますので、図形的には正円ですから、曲線はすべてふくらみが真ん中になります。マ行の頂点は中心ですし、ナ行の底も中心です。
標準的な中根式では、曲線の書き方については細かい説明をしません。黒板に速記文字の単語(見本)を書いて終わりです。
速記文字はフリーハンドで書きますから、速記文字は書く人によって、多少のくせがあります。
曲線の場合は「書き始め」と「書き終わり」でふくらませるかは、前にある速記文字に関係をしてきます。
例えば、「ナ」の速記文字を続けて書く場合でも、「カナ」の場合は、「ナ」の書き始めをふくらませます。「ナカ」の場合は、「ナ」の書き終わりをふくらませます。
また、曲線が続く場合でも「マナ」「ナマ」の場合は一筆化をします。
この書き方は、「速記文字が崩れても読めるように」という理由があります。標準的な中根式では、まだ「法則化」をされておりませんが、私が基本文字を指導する場合には、単語練習の段階で指導をします。
私の場合は、早稲田式を最初に学習をしておりますので、早稲田式における「ゆり上げ」「ゆり下げ」「一筆化」等々の運筆法を基本文字の段階から中根式に取り入れております。
線間に小円、大円が入る場合は、必ずしも正円ではありません。楕円になったり、円の形が変形をさせて書きます。
幾何学における図形的な速記文字を続けて書くよりも、速記文字のつなぎ目を変化させて書いた方が、速記文字が流れるようにきれいに書けます。
ご参考までに、植田 裕先生は「中根式速記法原理 上巻」で「二線一筆化の原則」として採用をされております。
すごくごていねいに解説していただきまして、ありがとうございました。
曲線の速記文字の書き方についておたずねします。
清音表のマ行の文字を見ますと、お椀の形の頂点が真ん中ではなく、終筆近くになっています。ナ行やハ行もそのようになっているようですが、こういった書き方をするのには何か理由があるのでしょうか。中心を頂点とした書き方「⌒」や、始筆近くで盛り上げる「へ」の字ではいけないのでしょうか。
「中根式速記法入門」に対する大変貴重な要望をいただきありがとうございました。
1.基本文字の長さについて
基本文字の長さはユニット数で示しておりますが、1u=約3ミリということにしております。
基本文字においては「短線」(3u)と「長線」(6u)が基本の長さになりまので、短線が9ミリ、長線が18ミリの長さになりますが、私は初心者の方には速記文字を大きめに書くように指導をしております。
ご参考までに中根正世著「中根式速記」(初版・昭和27年4月発行)では、短線が3ミリ、長線が6ミリで書くようになっております。
また中根洋子著「中根式 速記の基本教程」(初版・昭和31年12月25日発行)では、短線が4ミリ、長線が8ミリで書くようになっております。
速記文字をユニットであらわすようになったのは、植田 裕/川田秀幸著「中根式速記法原理 上巻」(初版・昭和26年11月発行/中根速記協会香川県支部)からです。この「中根式速記原理」では、1u=3ミリの長さになっております。標準的な中根式では短線は3〜4ミリ、長線は6〜8ミリの長さです。
中根式は創案当初から万年筆で書くように設計をされておりますので、速記文字の大きさが他方式よりも小振りにできております。
初歩の段階では濃淡の練習もしますので、シャープよりも2Bの鉛筆を使用します。筆記具等の関係もありますので「中根式速記法入門」では、速記文字を少し大きめに設定しております。
なれてくれば速記文字も自然に小さくなってきます。線の長さは、きちんと定規で測った長さではなく、大体の目安です。1対2の区別ができれば結構です。
2.基本文字の角度について
初心者が清音表見ただけでは、どこが違うのかわからないと思います。まず見分けがつくのは、速記文字の長さが2種類、濃線、淡線の速記文字、加点文字ぐらいだと思います。「ア」と「ラ」、「イ」と「ヤ」、「キ」と「フ」、「ケ」と「ツ」は右上から左下に書くのか、左下から右上に書くのかどうか、というご質問も含んでいると思います。
A角(0度の水平線)で書くのは、カ、コ、ナ行、マ行。
B角(左上から右下の30度)で書くのは、スを除くサ行、タ、ト。
C角(90度の垂直線)で書くのは、ク、チ、テ、ハ、ヒ、ヘ、ホ。
D角(右上から左下の60度)で書くのは、キ、ケ、ス、ヤ行、ラ行、ワ。
E角(左下から右上の30度)で書くのは、ア行、ス、フ、ツ。
この5方向が基本文字の角度になります。いずれも30度単位になっておりますが、分度器できちんと測った角度ではなくプラス・マイナス5度の誤差は大丈夫ですが、最初のうちは、分度器できちんと測り赤線を入れて練習をされるとよいでしょう。なれてくれば大体の角度で書けるようになりますが、神経質に「○度で書かなければいけない」と思わないで練習をしてください。
3.その他
中根式は万年筆で書くように設計をされていると、書きましたがA角、B角、C角、D角は、万年筆で濃淡が出ますが、E角の「ツ・フ」は、濃線では書けませんので、濁音の場合は加点を使うように設計をされております。
最近はシャープを使用しますので、「ヅ・ブ」の速記文字が濃線で書けるようになりました。「グ」は、「ク」が濃線ですので、加点を使います。
「ス」は、2種類ありますが、使い方は「文例」と「中根式の質問箱」を参考にしてください。
貴ページをいつも楽しく拝見させていただいております。
「中根式速記法入門」の創設は、たいへん有意義な企画だと思います。
そこで、このコーナーについて、ひとつ要望させていただきます。
「清音記法T」の第2図に清音表が掲載されておりますが、初心者にはそれぞれの速記文字の線の長さと角度が、見た目だけでは明確に把握できません。
運筆の方向を矢印で示していただき、その方角(A〜E)も一字ずつに付していただきたく思います。また、線の長さを表すユニット数もそれぞれが分かるように表記してください。
よろしくお願いします。これからもがんばってください。
信三様。
再度の書き込みをいただきありがとうございます。
速記文字画の「マ、マ、中根先生、天気がいいから散歩に行きませんか?」は、大正13年5月17日に中根正世先生がつくられたと伝え聞いております。
私は、中根正世著「通俗中根式速記法」は、中根式のバイブル的な存在としてとらえておりますし、中根式における不朽の名著ではないかととらえております。
戦前における中根式の学習者が使用をされたテキストですが、中根正世先生は、戦後に改訂版として発行をされたのは、昭和27年4月の「中根式速記」、昭和44年3月の「中根式速記通信講座」が、最も代表的な著作です。「通俗中根式速記法」に新しい書き方を掲載されております。
私が中根速記学校で指導を受けた法則体系は、「通俗中根式速記法」の法則体系を元に速記法則などが追加をされたものです。また、中根速記学校では砕けた書き方の指導もされております。
現在、中根式では各地でいろいろな法則が指導をされておりますが、基本となる法則は「通俗中根式速記」の法則です。
私がこのホームページに掲載をしている「中根式速記概要」は、従来の中根式からかけ離れた法則体系を使用しておりますし、私が使用している法則体系の一部分です。
中根式における貴重な昔話をいろいろとお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
私のEメールの住所は、この掲示板の一番左下に出ております。
管理者:tachygraphy@……の部分です。ここをクリックしていただきますと、私のところへメールが届きます。
北の道楽おやじ様。
早速ご返事を頂き有難うございます。
私が中学で学習したことを少し紹介しながら感じていることを述べたいと思います。
50音、濁音、長音、インツクキ法、助詞、上下段をいくらか、それに、写真版に見られた感激の『徹底』のような用法を教えられ、後は、先生が読む文章を書き取って、それを解読するということを繰り返しました。その後の学業生活で速記が役立ったことは、ノートを取る時、よく使われる漢字の熟語を簡略化して、書き取る分量を大幅に減らすことにより、内容を考えるながら講義を聴くゆとりができたことでした。多くの学生が流派は問わず、インツクキ法までに相当する程度の技能を習得することは、とくに日本語のような、文書にする苦労が大きい言語の場合、大変有益なことと思います。啓蒙運動をよろしくお願いします。
貴方のサイトに紹介されている資料によると私の知らない技術が随分あるようです。少しずつ勉強したいと思います。利用させて頂くには、頭の働きがかたくなってしまったと思いますが、、
また、面白い文字絵が紹介されていますが、「ま、ま、中根先生、天気がいいから、散歩に行きませんか」というようなものが頭に残っています。速記に対する関心が強かったのか、幼い時の記憶はいつまでも残るのか、自分ながら不思議です。
またお邪魔します。
信三様
初めまして。管理人の北の道楽おやじです。
中根式の大先輩から、書き込みをいただきありがとうございます。
「通俗中根式速記法」の巻頭には「速記文字を交えた学生のノート」の写真版が掲載をされております。17ページには、
「同志社大学出身の渡邊五郎さんが予科3年在学中の夏期休暇に、たまたま開いた1週間の講習会に来て一通り書き方を全部に通じた後、休暇明けの2学期から応用し始めたのである」
と書かれております。「通俗中根式速記法」は昭和2年11月15日初版が発行をされておりますから、大正末期に書かれたものかと存じます。
このサイトはことしの8月31日に公開をしたばかりです。これからも新企画を考えておりますので、よろしくお願いいたします。
北の道楽おやじ様、
3年ほど前「中根式速記法」についてネット検索しました時は、中根康雄氏の「速書き健康法」の紹介しか見つかりませんでした。今日は多くのサイトが紹介されています中に、この掲示板がありましたので、早速書き込ませて頂きます。
まず、私と中根式速記法との関係について紹介させて頂きます。
私は79歳、1966年来アメリカ在住の日本人です。私は昭和12年当時、長崎市内の中学1年生でした。(今日知ったのですが、創始者と同じ、市内元大工町に住んでいました。)中学の担任の数学教師が中根式速記法の使い手で、校内の講演会の内容を校内雑誌に掲載したりしておりました。この先生が時間外に速記を教えてくれるというので、級友と二人で応募し、腕を上げて講演会の速記の手伝いなどしました。その後、高校、大学で講義のノートを速記文字まじりで取るなど役にたてましたが、今でもメモは速記文字です。たしか、「通俗中根式速記法」の巻頭に速記文字まじりの講義ノートの写真版が紹介されていたとおもいますが、私自身の経験と重ねあわせて感慨深く思い出します。
まだ、このサイトのいろいろの文献を読ませて頂いておりませんが、これからもよろしくお願いします。