初めて投稿します
道楽おやじさんの速記に対する情熱には感服します。
私は速記者ではありませんが、速記大好き人間です。
植田先生とは何度かお会したことがあります。
30年ほど前に西来路先生が中心になって兼子さんなどが世話役の速記研究会があり、
夏に高野山で研究会は開催されました。
そこで植田先生がインツクキの高度なダブル省略法を解説なさいました。
そのときに、大阪のHさん(故人)と植田先生との間でけっこう遠慮のない議論になったのがおもしろく印象に残っています。Hさんは、方程式のようなものを期待していたのに、そうではなかったとおっしゃったのです。
私は昔、日速協の検定の大阪会場での試験のお手伝いをしたこともありました。受検者は最近は少ないそうですが、手書きの速記符号は今後は個人利用に活路を見いだすのがよいと思うので、スペースを取らない一行速記(ノートの行からはみ出さずに書ける)を創案して、自分ではそれをメモなどに使っています。
ずぼらして普及の努力はまったくしていませんので、これを使っているのは私だけでしょう。
中根式も比較的スペースは取らない方だと思いますが、方式によっては、かなりのスペースをとるようなので、個人利用のノートなどには使いにくい面があると思います。
文例集からタグの入れ方まで、本当に役立つページ、ありがとうございます。
「速記の魅力」は、一言で申しますと、突き詰めていくほど奥が深いあやしいまでの魅力を感じます。
自分で使用している速記文字、及び速記方式に対して愛着を持っているかどうかも含まれております。
速記は技術一辺倒的なものではなく、日常生活においてはいろいろな分野で使い方があります。
速記法則に限らず、速記におけるいろいろな分野に興味を持って突き詰めていくと疑問にぶつかります。
同じ速記方式でも、人によっていろいろな書き方がありますし、速記文字を長年使用していると次第に進化していくことも「手書き速記」の大きな魅力だと思います。
また、いろいろな速記方式がありますので、各方式のテキスト・資料を集めて速記文字の割り当て方や速記法則などを知り「速記文字の鑑賞」をすることも手書き速記における1つの魅力だと思います。
ずばり、「速記の魅力」ってなんでしょうか?
「符省法」の「両小円省略」は、○ン○ンに使用しておりますが、インツクキ法の小円を2つ省略した形として「中部空間」の図形になっております。
インツクキ法における逆記法は、清音の構成において母音、子音を対等に扱っているからできる法則です。清音が単画線(濃線、加点文字も含む)で構成されているから有効に使用できる法則でもあります。
特に○ウ○ウにおける両大カギ省略、○ン○ンにおける両小円省略、○イ○イにおける両大円省略は、頻度的にも高いと思います。
年代的には○ウ○ウの両大カギ省略(中部接触)が中根正世先生によって中根速記協会機関誌「中根式速記」昭和6年5月号に発表をされております。
中根速記学校の池田正一先生が中心になって、昭和7年10月に「研究会」ができました。その中で○ン○ンの両小円省略、○イ○イの両大円省略が研究をされております。中根速記協会機関誌「中根式速記」には昭和24年6月号に発表されております。
図形的には○ウ○ウの中部接触に始まり、○ン○ンの中部空間は小円の大きさですから、1ミリくらいの空間を空けたものです。
○イ○イは、中部交差の図形が残りますが、「34.交差略法」における中部交差と区別するために、○イ○イの場合は少し深めに交差します。
「中部空間」を中根式以外で使えないか、というご質問ですが石村式では○ン○ンの形で使用をしております。
早稲田式においては○ンの「2音文字」(キン、クン、ケン、コン、セン、フン、ポン、テン、デン)がありますし、他の法則などの関係から中部空間の○ン○ンの書き方は図形的に無理があると思います。私も高校時代に速記同好会で実験的に使用してみましたが、速記文字と法則とが図形的にはかみ合いませんでした。
中部空間等々の図形は速記法則の組み方によって採り入れることはできますが、折衷派方式では図形的に無理があると思います。
「中根式速記法概要」の「20.1uN尾音記法」におけるホン、ソン、セン、シン、カン、ケン、コン、テン、ヘン、ウ列+ン、エンは「特定符号」として扱っておりますが、早稲田式でいう「2音文字」に相当します。
いろいろと細かい書き方もありますが、「符省法」における中部空間、中部交差なども含んでおります。
「中根式速記法概要」の「18.符省法」に「2.両小円省略」のいうのがありますが、これについてご相談させていただきます。
数ある速記方式における撥音「ン」の書き方は、その殆どが小円の順記(逆記)か字尾を跳ねる形の2種類です。
後者の場合、専門・森林・鈍感・健全のような「○ン○ン」といった語句を正直に2回跳ねて書くということは、速度を殺がれることと書き難さという点で、かなりのデメリットを感じます。
この「中部空間」を中根式以外の方式(例えば早稲田式)で使用することは可能でしょうか。
複画符号の場合、センモンは「セモ」、シンリンは「シリ」というふうに、跳ね出しを省いて連綴する便法も有効かと思いますが、早稲田式では「○ン○ン」の対処は法則があるのでしょうか。
従来の中根式(中根正親先生の体系、中根正世先生の体系、中根速記学校で指導をされた体系)と、植田 裕先生の体系という言葉で説明をします。
従来の中根式では「摘記略法」という概念はありませんが、速記文字を見る限りにおいては、「摘記略法」と思われる法則があります。
「摘記略法」は、植田 裕先生の体系で使用をされております。
従来の中根式で例を挙げると「下段」における口語略字(これ=コ、しかし=シ、ます=マ、だけ=ケ、とき=キ)。中根校の「上段」には「一般上段」(訓音換記法/音訓換記法)と「特殊上段」は摘記略法のように抜き書きする方法です。(新しい=アシい、再び=フヒ、同じ=オジ、たちまち=タち)などがあります。また「9u略法」(最大線)では(質問=シつ、日本=ニ)などが該当します。
摘記略法は植田裕先生が「中根式 速記法原理」によって法則化されたものです。
「中根式 速記法原理」には「摘記略法」の説明に、
摘記略法とは、単語の中ある音節だけを抜き書きして他を類推判読させる方法である。
と書かれております。
「摘記略法」の中には、下記のものがありますが、説明の部分は「中根式速記法概要」に書いてありますので速記文字に相当するものを書きます。
※片仮名は速記文字、平仮名はインツクキの符号です。
1.頭音摘記略法
〜という=イく、思う=オ、これ、答える=コ、〜から=カ、くらい=ク、去る=サ、それ=ソ、ため=タ、なお、なる=ナ、日本=ニ、また=マ、昔=ム、国=ク、場合=バ、もし=モ
2.尾音摘記略法
考え=エ、必ず=ツ、だけ=ケ、まで=テ、など=ト、ところ=ロ
3.頭尾音摘記略法
同じ=オシ、及び=オヒ、再び=フヒ、もはや=もや、余り=アリ、やはり=やり、あながち=アち
4.前音摘記略法
質問=シつ、賛成=サん、目標=モく、たちまち=タち、あいさつ=アい
5.後音摘記略法
将来=ラい、最近=キん
6.択音摘記略法
があり、択音摘記略法の中には
1)単純摘記略法
あらゆる=アユ。いわゆる=イユ、すこぶる=スフ、ただいま=タイ、なにゆえ=ナユ、新しい=アシい、新しく=アシく、新しき=アシき
2)中間小カギ略法
引き続き=ヒツ、取り締まり=トマ、取り調べ=トヘ
※「取り締まり」と「取り調べ」は同形になりますので区別をします。
3)同音平行法
アジア・アフリカ=アア、なかなか=ナナ、半信半疑=ハハ
などが含まれておりますが、「中間小カギ略法」及び「同音平行法」は、摘記略法から独立をした別の「略記法」として存在しています。いずれも速記文字の長さは「基本文字」の3u、6uです。
さらに「摘記略法」を適用したものとして、「9u略法」(最大線)があります。
では、「主な頭文字」及び「任意の2音」を摘記する基準はあるのかどうか、というご質問ですが、法則の概略としては、「漢語」「和語」「外来語」を、どの法則に適用するかです。これは指導者によって使い方が違います。
中根式全体の法則的なことにも関連しますが、
二字の漢語は「インツクキ法」及び「最大線」、「四字熟語」等は「交差・平行法」及び「ヒモカギ法」、「和語」等は「中間小カギ」及び「ヒモカギ法」、「外来語」は「交差・平行法」及び「ヒモカギ法」等々の基準はあります。1つの法則で「漢語」「和語」「外来語」を表すことができますが、主に高頻度の言葉に対して適用をします。
摘記略法によって従来の中根式における「上段」(訓音換記法)「下段」略字を中段であらわすことができます。「上段」「下段」の使い方は「口語助動詞」等(アリマスは上段に「・」、アリマシタは下段に「・」)に使用する程度です。訓音換記法も限定して使うことができます。
特に略記法関係の法則は、あらかじめ決めてから使うことをお勧めします。
「中根式速記法概要」における、縮記法、略記法についてのご質問がありましたら、「掲示板」の方へ書き込んでください。後日「中根式の質問箱」へ掲載いたします。ハンドルネームは掲載いたしませんので、ご了承のほどを。