◆◇◆ 「速記道楽」 掲示板 保管庫 ◆◇◆


004 速記とローマ字筆記体の違い 投稿者:たかひろ  投稿日: 7月 8日(木)17時44分36秒

ローマ字筆記体(A)と、右進横書きの速記(B)とには、どちらも右に進む横書きであるという共通点はありますが、次のような違いがあります。
(1)Aには明確な重心があるが、Bにはない。
(2)Aでは一つの単語の中では、ijの点やtの横棒など以外では、離筆はないが、
Bでは、普通の一つの筆記単位(群)と想定されるまとまり(日本語であれば、大むね
単語または文節がこれに相当する)のなかでの離筆は頻繁に起こる。
(3)Aでは実質的な文字と文字の中間に、離筆をしないためと文字の位置を揃えるためのつなぎの線が見られることがほとんどであり、そういう線は、いわば内容的には無意味な線である。
一方速記においては内容的に無駄な線はまったくない。(もっと、省略しても書けるのに、というのとは別の話です)

こういう違いがあること、そして、コイル状のもようをくるくると右方向に横書きする場合には、どちらの回転でも書きやすには変わりがないこと、
などの理由により、V式もふくめた横書きの符号速記での曲線の回転方向の有利不利を
のべる場合に、ローマ字筆記体での回転方向のことを、ひとつの材料として加えない
方がよいのではないかと思います。
AとBを別々に切り離して、それぞれの曲線の回転方向についてのべるのは
何も問題はないと思います。
ただし、Aについては、この掲示板の趣旨からはずれますので、これ以上の深入りは
避けたいと思います。
Bについてのべますと、曲線で右回転の方が有利ちなる方式があるかどうかと
考えてみると、線尾に大小の円や楕円を付けることが非常に多く、しかも、
2時や3時の線よりも、7時や6時の線を多く用いる方式、
そういうのがあれば、左回転よりも右回転に高頻度音をあてたほうがよいと
思います。
しかし、そんな方式はまずないでしょう。
ですから、普通の速記方式においては、
曲線では左回転の線に、より高頻度の音が当たるようにするのが正解、と言えそうです。
それはV式にかぎらず、です。
グレッグ式でも、もちろん、そうなっています。

なお、最頻出の助詞「の」は、W式では左回転ですが、線尾が全体の進行と逆の方を向いている点が、私には感心できません。高速向きとは言い難いように感じます。
これにつきW式の経験のある方々のご意見をお聞かせねがえれば幸いです。


005 六甲おろし 2 投稿者:緑匣  投稿日: 7月 8日(木)17時29分52秒

 ご参考までに昨年の「速記科学研究会」の「ご案内」をつけます。

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     第 27 回 速 記 科 学 研 究 会 の ご 案 内 

 速記発表 120年も過ぎ、速記界も手書き速記・機械速記でワープロ反訳の時代から
、コンピューター支援反訳による機械速記や音声入力が具体化する時代に変わりつつ
あります。
 その入力・出力の方法はさまざまですが、音声言語を文字言語に定着するという点
では共通のものがあり、最終的にそれをなし遂げるには人間の言語判断処理能力にま
たなければなりません。そして、各手段がその特徴に合った分野でそれぞれ有効に活
用されていくという時代になってきつつあるようです。
 このような過渡期にある速記界において、過去を振り返りつつも現在を認識し、次
代へ進んでいく糧を得られる会議ができればと存じます。
 日 時 2003年8月24日(日)午前9時30分〜午後4時30分
 場 所 京都大学経済学部新棟(8階建) 201演習室(2階)
           京都市左京区吉田本町
 日 程
   9:00〜 9:30  「総 会」
   9:30〜10:30  「単画派・純単画派の系統」    加古修一
   10:30〜12:30  「国字式と山根式について」    兼子次生ほか
     (昼食)
   13:30〜15:00  「CAVERの報告とデモ」
                        鈴木 努 小谷征勝
   15:00〜16:30  「その他の報告等」
     当日参加費  3,000円 (会員は会費より出します)
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      音声入力研究見学会のご案内
 研究会前日の8月23日(土)午後  時  から、京都大学学術情報メディアセン
ター (京都市左京区吉田二本松町) において、「音声入力研究の最前線」見学会を予
定しております。ご希望の方はご連絡ください。
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      宿泊及び懇親会のご案内
 研究会前日8月23日(土曜日)の懇親会及び宿泊を準備しております。
 宿泊所   ○○ホテル(確定次第、参加者に連絡します。)
 懇親会並びに夕食 宿泊所付近で午後7時ごろから
 
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 以上です。ことしは名古屋で「速記の進化(仮題)」をテーマにいろいろな意見交
換が行われる予定です。
 また、会員であるなしにかかわらず自由に参加できます。


006 六甲おろし 投稿者:緑匣  投稿日: 7月 8日(木)17時28分28秒

六甲おろしの源の六甲山、その裏側の有馬温泉の近くに住んでおります。「緑匣」
です。なお、別に阪神ファンということではありません。(念のため)
 「たかひろ」さん、「魔術師」さん、「Myamo」さんが掲示板にあらわれ、つられ
て私も顔を出し、皆さんのお話を伺いながら、楽しく符号談義をさせていただいてお
ります。

「管理人さん」へ
 こんな問い合わせがあり、一応返事は出したんですが、先方のセキュリティーが堅
固なのか、当方のウイルス防御がええかげんだからなのか、理由はわかりませんが、
幾ら返信を出しても向こうに届きません。この掲示板をごらんになってのことですの
で、ここで少し説明をさせてくださるよう、よろしくお願いします。
……………………………………………………
> 「速記道楽の掲示板」で知ったが、「速記科学研究会」とはどのような会か。
> どれくらいの人達が集まり、具体的に何をするのか。
> 速記士でもない人間でも参加できるのか。

 というような趣旨のお問い合わせでした。
およそ次のようなご返事をさせていただいたのですが……。

 「速記ガイド」(100周年記念冊子)の説明によると、
 「会の目的は、自由な雰囲気で、速記符号の研究、速記理論、速記の歴史、修文、
 編集等、速記に関する諸問題及びテーマを科学的に研究するものとなっている。
 (1) 研究会と総会を年1回開催
 (2) 明治以来の速記書の覆刻配布
 (3) ニュース、会報の発行
 例年、総会は8月の第3週または第4週(検定の前の週)の日曜を中心に行われて
いる。」
 といったものですが、要するに掲示板でやっているようなことを集まってやってい
ると言ってもいいのじゃないかと思います。
 出席は20人前後、ことしは8月21〜22日に行います。プロ速記士は半分もおらず、
「たかひろ」さんのように、速記の仕事はしていないが、速記が好きだ〜というよう
なタイプの方が多いんですよ。ですから,あなたのような方が今まで参加していなか
ったのが不思議だという感じです。類は類を呼び……で成り立っている会です。

……………………………………………………
> 個人で速記研究活動をやっているが、お歴々から文句が出ないか。
> 遊び感覚で速記実験コーナーを作り、学習者同士のやりとりを想定
> なぜか周りの発言は歴戦のプロの方々ばかりで恐縮……

 速記の仕事をしているかどうかは全く関係ありません。むしろ仕事をしていない人
の方が自由な発想ができて、そういう方のお話を聞くのは非常に参考になるんです。
プロの方は、斬新な符号改革をしようと思っても、現実の仕事に差し支える面もある
しで、少々の手直しで妥協せざるを得ない面がありまして……。

 また、速記に取り組む姿勢ということでの「歴戦のプロ」と解釈してください。
 そういう意味であなたも「プロ」の最たるものと、当方は認識しておりますので、
ゆったりとご参加ください。


007 円などに続く拗音は 投稿者:たかひろ  投稿日: 7月 8日(木)16時00分17秒

緑さん、V式においては拗音を頭部小丸カギで表すのですね。
その場合に、2時3時4時の線の頭に着けるのだから頻度の多い行では
それを左回転の線に付けるのが前の線との続き方の点で有利なのだとか。
たしかにそれは言えますね。
で、頭部カギは円や楕円に続ける場合には、どのように処理なさるのでしょうか。
それと、たしか、拗長音では、頭部カギは不要でしたですね。
7時線の流しが○ョウで、4時線の流しが○ュウ、でしたっけ。

それと、緑さん、答案用紙に先生が書く「○」は、普通はグレッグの教科書に
出てくる、右上がりの楕円ですよね。
あの場合、先生はなぜ右回転の○を付けるのでしょうか。

それと、緑さんが、万年筆の調子を見るときに、くるくるとコイルのような線を書く
として、どちら回転のものを書かれますでしょうか?


008 ほんの少し 投稿者:緑匣  投稿日: 7月 7日(水)22時52分17秒

 暑中お見舞い申し上げます。
 外気はもちろん、掲示板の内も熱気むんむんですね。

 ほんの少し追加を。

> 、そうされたのであって、ローマ字の筆記体云々は、いわばあとで理屈付けに
> 書かれたものではないかと思います。
> で、ではなぜV式においては、右回転よりも左回転の方が有利なのか。

 「か・さ・た行」は、対応する拗音も使用頻度が大きく、さらに拗音は「あ・う・お列」でもあります。
 また、V式では拗音に準単画線として活用できる前かぎ線が当てはめられないかと考えてみました。前かぎが施しやすい線にすれば、音韻的にも符号的にも対応しやすいのではないかと思ったわけです。
 すると、30度・0度・−30度の方向、しかもどちらにもかぎをつけられる直線と左回転の曲線であれば、かぎが前の符号に重なりにくいということで、現在の符号配置が浮かび上がってきたわけです。

 上記の直音・拗音の対応も1つの理由ですが、「たかひろ」さんがるるお示しになったようなことも含め、結果的に符号全体として左横書きになじみ、線の融合や鋭角的接続も多くなったような気がしております。

 筆記体については、何しろ長い年代を経て、活字体 (象形文字等) を基準線上に書き込んでいく過程で進化・発達してきた書体ですから、左横書きにおける左回転の優位性の実証例となるのではないかと思いました。
 ちなみに、ローマ字筆記体はアンダーライン、漢字・仮名交じり文は右傍線をつける位置が基準線とみなされ、右に進む、あるいは下に進む上での書き方が発達したのではないかと思います。


009 回転方向、まとめ 投稿者:たかひろ  投稿日: 7月 7日(水)10時19分46秒

次に、単純な曲線にサインなどを付けずに書いて、そこで止める(流す、も含む)場合について考えてみます。

V式における単純な曲線の規範的な形が、@グレッグタイプなのか、Aピットマン(原始中根)タイプなのか、
あるいはB早稲田タイプなのか、それは私にはよくわかりませんが、話を簡単にするために、いわゆる「くせ」がないAだということにしましょう。
 そうすると、5方向ある右回転の曲線の、その線尾から伸びる搬送線の方向は、3時あたりから9時あたりとなり、符号全体が進む基本的な方向である3時方向に対してはやや流れに逆らう感じになります。
 これでもし、その右回転の線自体が、グレッグタイプであれば、2時方向や3時方向の線の線尾からの搬送線は6時くらいから7〜8時の方向となり、よけいに不利となります。
 それに対して、左回転の曲線の場合は、その搬送線の方向は線がピットマンタイプなら、12時から右にまわって6時まで、線がグレッグタイプなら12時から右にまわって4時くらいまでにおさまり、いずれも、符号全体が進む方向である3時方向に近い、というか、流れに逆らわない感じに書けるので有利なわけです。
 V式では線の終わりに何も付けずに流したりしてしまうことが多いので、この作用原理が強くはたらきます。

 そして、この、V式において、曲線は右回転左回転のどちらが有利かということを、線単独で検討した場合の結論は、V式に限らず、符号式の速記方式ならどの方式にも当てはまることなのです。

以上の検討の結論をまとめますと、符号式の速記方式の単純な曲線において
(1)全体的に言えば、(特にストロークで終わる場合には)左回転の方が右回転よりもやや有利である。
(2)その線に大小の円(楕円、結び)がついて次の線に続く場合には、2時3時方向の線では左回転が有利で6時7時方向の線では右回転が有利である。

以上についてご質問やご批判があれば、ご遠慮なくお書きくだされば幸いです。


010 右回転か左回転か 投稿者:たかひろ  投稿日: 7月 6日(火)19時03分21秒

右回転と左回転の話ですが、みなさんからご意見が出ませんので私の考えを書きます。
まず、ローマ字筆記体ではなぜ右回転よりも左回転の方が多いのかというと、それは
次の二つの理由からです。
1.文字の重心(建物の地面に当たる基本的な位置)が大文字の底のところにある。
  (だから、一本の横線に添わせてローマジを綴る場合には、それを地面と見たてて、そこに大文字の底が来るように書くわけです)
2.文字の終わりがjやgのようになっていて、次の文字につなぐためにあらたに閉じた部分を作らないと
いけないという文字が少ない。
決して「右に進む横書きだから」という「だけの理由ではない」のです。
(なお、なぜ1のことが左回転を多くすることになるのかという世湯名は複雑になるので省略します。
いまのメインテーマは、ローマ字ではなく、速記における回転方向ですので。)
もしも、ローマ字の重心がaやeやoなどの小文字の上の位置にあるのだったら、右回転の方が有利になるか、あるいは、どちらとも言えなくなると思います。
ここから本題に入ります。では、右に進む横書きの速記においては、曲線は右回転と左回転では、どちらが有利なのか。すなわち、頻度がより高い音があり、それに直線を当てないとすれば、右回転、左回転のどちらをあてるべきなのか、ということを検討します。
V式では左回転の曲線を高頻度の行(カ・サ・ハ)にあてています。
それで正解なのです。その理由をこれから説明します。

おそらくみどりさんは、ローマ字筆記体が左回転が主だからそのようになさった……のではなく、それまでの自分の感覚から速記では左回転の方が書きやすく感じておられたから、そうされたのであって、ローマ字の筆記体云々は、いわばあとで理屈付けに書かれたものではないかと思います。
で、ではなぜV式においては、右回転よりも左回転の方が有利なのか。
曲線が他の線と小円や大円でつながる場合には、右回転が左回転が有利かというのは、主としてその他の線がどういう方向のどんな形の線なのかということで決まってしまい、たとえば、V式のヌは、「抜くな」と書くと、書きやすく感じますが、「抜くし」と書くと書きにくく感じます。
だから、円で他の線とつながる場合の曲線の書きやすさというのは、右回転が良いのか、左回転がよいのかということは一概には言えないわけです。
しかしながら、2時や3時の線は、他の線と円でつなぐときには平均して左回転の方が有利だし、逆に6時や7時の線は円で他の線とつなぐ場合には右回転の方がやや有利です。(その理由はこの掲示板の読者のかたにはあえて説明する必要はないでしょう)。
で、V式では、ア列とオ列を2時と3時に、イ列とエ列を7時と6時にあてていますが、前者の方が頻度は高いので、結局、行に対して右回転を当てるか左回転を当てるかという選択をするのならば、頻度の高い行に左回転を当てる方が具合がよくなる効果がより大きく生じます。
これがまず、V式において、高頻度の行に左回転をあてたことが正解であったことの、一つ目の理由です。
そして、もう一つの理由は……?(つづく)


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