使用率
他式の者のが、中根式の書体を一見して、

の線多い符号だと評する。しかしながら50音中

線はサシスセソタトの7音にすぎ
ず、

線はキケラリルレロヤユヨワの11符号、

線はフツアイウエオの7符号である。50音の各線が平均して使用されるとすれば、


と

線の使用率は18対7でなければならない。ところが50音中、よく使用される音と、そうでないものがあったり、例え発音
されても、縮記法や略記法によって書かれなかったりして、実際には


は線と

線の使用率は同数になるのである。第一表の数
字がそれを物語っている。
(※注意)
※→ はカ、コ、ナ行、マ行。

はサ行、タ、ト。

はキ、ケ、ヤ行、ラ行。

はア行、フ、ツ。↓はク、チ、テ、ハ、ヒ、
ヘ、ホの基本文字の方向を表記します。(滝 鞍二)
第 一 表
| 通俗中根式速記法 | 中根式速記 | 速記の基本教程 |
| (中根正世著) | (中根正世著) | (中根洋子著) |
→ 線 | 33 | 21 | 27 |
線 | 36 | 20 | 40 |
線 | 20 | 8 | 16 |
線 | 21 | 10 | 25 |
↓ 線 | 33 | 14 | 11 |
(各著書の最後に掲げられた速記文例によって統計した)
以下に頻度とか縮記、省略法とはいえ、僅か50音符号中7符号しか占めていない

線が、18符号もある


と同じ率で使用され
ているということは、

線を当てたサシスセソタトの符号がよく使われることを意味するものではなかろうか。
それでは、

と


線は、どちらが書きよいかという問題になってくる。

線が


線に勝って書きやすいとするなら、中根式の
50音符号は、その符号の頻出度(音ではない、符号の)に適正に配置されていると言えるであろう。

線中(※基本文字のタ、
シ)などの短線は、さほど書記上障害回復感じないが、その他の符号は


線のどの符号よりも書きにくさを感じるのは、私1人
ではあるまい。
とすれば、使用度数の多いサ行を中心にして


線が強調されるように改編することは、果たして可能であろうか。私は理論的
には可能であると思うし、試案を示すこともできる。しかし、この50音符号の改変以上に厄介な問題が起こってくる。この厄介な
問題とは何か。それに対する私の見解はどうなのか。まずそれらの問題から明らかにしていこう。