速記講座【12】 破魔矢 (ハマヤ) は長久

 その昔、武士は戦に出るとき、武運長久を願って神社に武具等を奉納し、かわ りに弓矢などをもらったそうですが、それが破魔矢や破魔弓の由来だということ のようです。

 現代では、初詣などで神社へ参拝したとき、開運厄除、家運興隆を願って破魔 矢をもらって帰りますね。もちろん費用はそれなりにかかっていますが……。

 さて、話のまくらはこのぐらいにして、「ハ・マ・ヤ」の3行の音を行単位で 考えると、日本語の中では比較的発音される回数が少なく、2行を合わせても 「ア・カ・サ・タ・ナ行及びラ行」のうちの1行に匹敵するほどだそうです。

 そこで、速記文字では他の行よりやや書きにくい形状の線が当てられています。



 そうなんです。長い線で、「カ・ナ・ア行」で使われた長さの2倍の線です。 なお、この速記講座に採用された方式では、これ以上の長さは使いませんから、 ご安心ください。

 また、「ヘ・メ」は、原則どおりにしますと、縦に特別長い線になり、幅もと りますし、線の流れもぎこちなくなったりしますので、例外として短くなってい ます。書き始めと書き終わりの点を結ぶとやはり6時の方向の縦線ですが、ただ 単に短くしますと「セ・レ」と同じになってしまいますので、膨らませて半円形 にします。

 最後に、「ワ行」がありましたが、これは1音だけですので、やはり半円形を 使います。「ヘ・メ」は、縦に割った半円ですが、「ワ」は横に割った下半分の 半円です。「輪を割る」と覚えてください。これは助詞の「は」にも使います。

 このように、速記は発音どおりに、助詞「は・へ・を」も「ワ・エ・オ」を使 うということですね。文節ごとに分かち書きをしますから、はっきりわかります。






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 えっ? 長い線があると、手帳に書くのは無理だって? そんなことはないん ですよ。全体に小さくしたらいいんですから……。

 どうしても普通の線と短い線ぐらいで済ませたいって? そういう方法もない ことはないんですが、線の長さを2つに絞ると、その制約があるだけ、ほかの部 面で複雑になっていくんです。何しろ、速記文字に使える線の形状には限りがあ りますからね。
(続く)