みんななかま

 さて、日本の速記は明治時代の田鎖綱紀に始まると言われます。そして、 その多くは英文速記の流れを汲んでいます。

 例えば、イギリスのPitman式の符号で
”N K M ”は、”⌣ - ⌢”と書きます。

 これを田鎖は「な行、か行、ま行」の基本の線に採用し、それぞれのストローク(線符号)に 簡単なサイン(小円などの附属の符号)を添付し、「なにぬねの、かきくけこ、まみむめも」の 音をあらわす速記文字にしました。

 日本の速記は、それを体系づけて発展させてきたものが多く、上の3つのストロークを 「な、か、ま」と読むものがほとんどです。
 わずかに「カナ式」はその名のとおり「かな」の変形が、「V式」 は一たん分解して再編成したので別の線が、それぞれ使われています。

 いずれにしても、速記文字として使われるストロークとサインは同じ材料で構成されますから、 最終的にはどの速記システムも符号の連なりがよく似てきます。そこで、初めて見たとき 「ミミズが並んで跳ね回っているようだ」と言う人がよくおられます。

 ですから、どのシステムであろうと、
「みんな⌣ - ⌢(なかま)」というわけです。

「みんなの速記ガイダンス」より抜粋