速記講座【43】 名作で学ぶ速記(3)

引き続いての名作冒頭シリーズです。

  「風の盆恋歌」高橋 治
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"水音が聞こえない"
 そう思って、太田とめは足をとめた。
 高山線の八尾駅近くにある自分の家から、一気に長い坂ひとつをのぼって来た。 七十歳をこした身にはこの坂がこたえる。越中八尾と呼ばれる富山県婦負郡八尾 町には、坂の町という別名があって、ゆるいくの字なりの急な坂が、奥へ奥へと のびている。