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〔第5図〕







 前に説明したとおり、第5図(2)の第1例は

 第1音……カ……基本文字
 第2音……ン……位置
 第3音……○……不明
 第4音……ン……加点インツクキのンの符号

 従って、この第3音目を前後の文章によって適当に活用するわけでありまして、 この次に「説明する」「申し上げる」などというような言葉が続いていたら、直 ちに「カンタン」だなということが判断されると思います。この方法は、なるべ く平素よく使う言葉であって、よく聞きなれているものに応用する方が有効であ ります。ときどき使われるものなどには応用しない方がよいのであります。また 平素余り使わない言葉を聞いた瞬間、よくこの方法を応用して見事に書きとめる ことは相当錬磨の幼がりますからもそれよりも平素よく出てくる言葉をあらかじ め書く練習をしておいて応用する方が都合よく書けます。これを活用する人で、 加点インツクキの符号の方を先に書いている者がありますが、自分であらかじめ 書き方を練習しておけば、当然どんなことても易々としてできるはずであります。 この例(第6図)なども難しい言葉には応用せず「簡単」ぐらいだったらまこと に平凡でよくわかると思います。

 さらに(2)の第2例……専門、第3例……今回、第4例……連盟など。

 (3)は説明、活躍、もちろん、間違い等

 この中の活躍は余り使わない言葉でありますが、書き方はこのとおりでありま す。「もちろん」などは特殊の形になるので、こんなのは応用されても一見して わかると思います。 (4)は国際、激戦等、

 このうち、激戦なども余り使われる言葉ではないのですが、書き方はこの例の とおりであります。

 特に(4)の最後のものは「簡単に説明す」でありますが、これは加点インツ クキ標を省略し、ただ単に「カにセす」と書いてあるのみであります。これは一 流の速記人が書くべき書き方で、既に速記文字については相当の訓練を重ね、文 字はどう書いても読める……書きさえすれば読めるというように十分な訓練を経 た人は「簡単に説明す」などのようなまことにわかりやすい平素使いなれている 言葉を一々正直に丁寧に書かなくとも大丈夫読めるはずでありますから、自分で 適当に応用していかれるがよいと思います。


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