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 この6とおりの言葉を前後の文意によって適当に安定することになるのであり ます。

 漢字を音読して2音から成るものの終わりがインツチクキであるということは まことにありがたいもので、第4音目を省略してもこれを当てはめていけば大体 判読ができるのであります。



 例題(第2図)




であるから「カンタンにセツメイ」というふうにだれにでも容易に了解できるは ずであります。実は1つの同じ字型でインツチクキを働かして6とおりに読める わけでありますが、こういうふうに大抵は容易に判読できると思います。符号の つけ方、特に「イ・ツ」などの符号を文字と文字との結び目のところにつける場 合など、よく注意してもらいたいと思います。なお例題の説明は、普通一般に使 われる言葉に読んでありますが、いずれも6とおりあてに読めるはずであります から、自分で適当に応用されるよう希望しておきます。 前に説明したインツク キ法は、帝国……テイコク、解決……カイケツ、専門……センモン……などのよ うに漢字が2字であって、しかもそれぞれ音読して4音になるものを簡単に書く のでありました。すなわちこの種の言葉の中には、第2音と第4音目とがいずれ もインツクキになるのでありますが、加点インツクキ標を2個もつけては遅くな るからというので、最後の第4番目の加点インツクキ標を省略する方法を説明し たのであります。ただし、第4音目の加点インツクキ標を省略してあるという目 標として、第2音目の加点インツクキ標を文字と文字との中間に移動したもので あります。ところがこれについては、なるほどと思われるような場合がときどき あります。例えば「今回」と書いてみるのであります。

 例題の凸版が間に合わないので実際に書いたものをお目にかけることができな いのでまことに申しわけありませんが、自分で「今回」と書いてみていただきた いのであります。これはコとカを連続して書いたならば当然結び目に切り線をつ けなければならないのであのます。ところが幸いにも前に説明しました加点イン ツチクキ法により「コンカイ」の第4音目のイの符号を省略し、第2音目のンの 符号を文字と文字の結び目、すなわちコとカの結び目のところに書くのでありま すから、こんな場合は切り線をつける必要がなくなるということになるのであり ます。開会、開墾、根幹、勤倹、経験など、同じ直線が連続する場合はみな、切 り線をつける必要がなくなるのであります。

 また「段々」などというような場合にもこの方法を応用すれば、別に繰り返し 標をつけなくともよいことになるのであります。すなわち、ダの字を2字続けて 書き、その結び目のところに「ン」の加点インツチクキ標をつけておいたらそれ でよいということになるのであります。

 ただしこれらの場合、加点インツクキ標は文字の右むまたは下、すなわち負側 という側につけておくようにしてもらいたいのであります。これで「今回」 「段々」などの1本の線を引いて、結び目の右または下に加点インツクキのンの 標、すなわち小点をちょっと打っておけばそれでよいのであります。

 それから「大体……ダイタイ、軽減……ケイゲン」などのように同じ方向の直 線であっても太い線と細い線だったら切り線はつけなくともよいわけであります が、こんな場合にでももちろんわざわざ太い線と細い線を区別して書くようなこ とはもとよりしないのでありますから、そのまま細い線を2字だけの長さに書き、 その結び目の当たりに加点インツチクキ標をつけておいたらそれで十分に判断が できるということになるのであります。

 前に説明したところは、同じ方向の直線を続けて書く場合に文字と文字との結 び目のところに切り線を打つことになっておるのでありますが、この加点インツ クキ法によって別の切り線を打たなくてもよいということを申したのであります が、ここにその例題(第3図)を示しておきます。ただし同じ形をしていても、 みなインツクキに語尾を働かして活用ができるわけでありますから自分でわかる 範囲内でこれを応用するというふうにしていただきたいのであります。なお念の ため語尾をインツクキに働かすということを次にはっきり一例を示しておこうと 思います。


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