第76回 4級(昭和61年5月) 分速180字

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 最近の日本人は、昔に比べますと早口になっているということであります。忙 しい現在の社会におきましては、確かに話し方も速くなるのかもしれません。テ レビなどを見ておりましても、早口でよくわからないといったようなこともあり ます。また、若い人たちに人気のあります深夜放送にいたしましても、最近では ゆっくりした話し方は非常に少なくなってまいりました。
 例えば、日本人の標準的な話し方と言われます放送局のアナウンサーにいたし ましても、十年ほど前には一分間に三百四十字ぐらいだったのでありますが、今 ではそれが三百八十字ぐらいになっているそうであります。そしてまた、歌謡曲 にいたしましても、言葉をたくさん使いましたものがはやっておりまして、曲に よりましては、何を言っているのかわからないものがかなりあります。
 なぜ早口になってきたのかと申しますと、その原因はテレビのようであります。 限られた時間の中におきまして、あれもこれも言いたいということになりますと、 どうしても早口になってしまいますし、ゆっくり話をしておりますと、チャンネ ルをかえられてしまうからだそうでございます。
 次に、日本と外国の物の考え方ということにつきまして、ちょっと述べてみた いと思います。
 先日、外国に長くおりました友人に聞いたのでありますが、日本には本当の意 味の豊かさがないということであります。これは、住宅や公園あるいは道路とい ったような、公共施設を含めましたところの暮らしぶりというものについて、感 じたことを言っているわけであります。要するに、日本の豊かさとはポケットマ ネーの豊かさだと言われておりまして、ちょっとした買い物をするお金は、いつ も持っておりますが、しかし、それはとても家や土地を買えるような額ではない わけであります。例えて申しますと、隣は広い庭つきの家を持ってはおりますが、 収入はそれほどではありませんで、つましく暮らしているのであります。それに 比べまして、こちらはアパート住まいでありますが、収入は割合に高くて、時に はステーキを食べたり、スキーなどに遊びに行ったりしているのであります。そ して、二つの家族はお互いにうらやましそうな顔をしているのであります。日本 と外国、特にヨーロッパを比べますと、こんな様子ではないかと私は思うわけで ございます。(了)

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